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野菜のアク

野菜の「アク」ってなんだろう。って思いませんか?
その言葉にずーっとひっかかっているのです。
「アク」が語れれば野菜が語れるのではないかと。
Dsc_2402野菜の定義の1つに「人間が栽培した食用の草本」という言い方があるけれど、野菜はその昔、「野草」であって、食べられるものを人間が選んで食べていたのです。その頃の野菜(野草)は非常にアクが強かった。なぜなら動物に食べられないようにするための自衛として、自ら動けない野菜は「アク」をだしていた。野菜のもう1つの定義「食べられたくない時期のもの」というのはこのことであり、それに対する果物の定義が「食べられたい時期のもの」というのは、果物は完熟品でほとんど「アク」がないことになる。その果物を鳥がついばみ、タネを運ぶ。これが自然の摂理です。
「アク」を辞書で調べると漢字では「灰汁」と書き、食品に含まれる、渋み・苦み・不快な臭いなどの元となる、食事には不要な成分の総称。多様な物質や現象の総称である。硝酸、シュウ酸、ホモゲンチジン酸などの有機酸や、アルカロイド物質、タンニンなどのポリフェノール類等が野菜のアクの成分と考えられている。

また、動物の生理状態を変化させる生理活性物質とも言われています。

まず「アク」から連想する野菜に「ホウレンソウ」があります。余談ですが、ホウレンソウは漢字で「菠薐草」と書き、「菠薐」とは中国語で「ペルシャ(今のイランのあたり)」を意味し、そこからシルクロードを通って中国に伝わったため「菠薐草」となり、日本でもそう呼んでいるという説があります。

さて、ホウレンソウには「硝酸」や「シュウ酸」といったアクがあります。「硝酸」は肥料として与えた窒素が光合成不足で発生するものであり、タンパク質と結合してニトロソアミンという発がん性物質になる事が分かっています。「シュウ酸」は体内でカルシウムと結合し、腎臓や膀胱に結石を作る原因になります。これを防御する食べ方としては、おひたしにはたっぷりの鰹節をかける事。なぜなら、鰹節にふくまれるカルシウムがシュウ酸と結合するため、体に入る時はすでに「シュウ酸カルシウム」になっていて、苦みも感じず、結石の予防にもなるのです。(結石は腎臓や尿道でシュウ酸とカルシウムが結合するとできる。シュウ酸は常にカルシウムと結合したがっているので,早いうちに結合させることが予防になる。腸に届くまでに結合されていれば、便として排泄されるのです)

こんな風に書くとホウレンソウは体に悪いから食べるのやめた、って思う方がいるかもしれないので補足しますが、カロテンやビタミンCなどの栄養はたっぷりです。茹でて、冷水にさらせば体に害を及ぼす「アク」は残りませんから、進んで食べてくださいね。

ホモゲンチジン酸というのはサトイモに含まれる成分。かなりおもしろい名前です。「ホモ現地人さん」と覚えましょう。テスト中何度、心の中でププっと笑った事か、、、調べてみると、椎茸やタケノコにも含まれるらしい。特に体への害は無いようです。

アルカロイドがまた厄介で、「野菜のアクはほとんどがアルカロイド」と聞いた事もあります。とっても悪そうな名前ですよね。ジャガイモの芽に含まれる「ソラニン」もアルカロイドの一種で、強い毒性があり、エリザベス1世がジャガイモを食べ過ぎてソラニン中毒になったのは有名な話です。ちなみにじゃがいもは花や葉に、より多くの毒性がありますので、食べないでくださいね。(食べないと思うけど)

アルカロイドにはトリカブトの「アコニチン」、コーヒーなどの「カフェイン」、アヘンから抽出され、麻薬ともなる「モルヒネ」等があります。でもこの「モルヒネ」はがん患者の鎮痛剤としても使われています。そして春野菜の苦み成分の多くも「アルカロイド」。冬に眠っていた細胞を呼び起こしてくれるのです。なんだか恐ろしい話になってきましたが、アルカロイドは毒でもあり薬でもあるのです。春野菜に関しては通常の摂取量なら、「毒」になることはなく、適量食べる事が大事なのです。塩だって水だって,すっっごく沢山摂取したら死ぬのと同じです。

最近はやりの言葉「ポリフェノール」。最近「抗酸化作用」がある、という事で注目されてます。ワインやチョコなど、私の大好きなものに含まれていて、「いっぱい食べていいのね」と私を甘やかしてしまう言葉です。今でこそ「ポリフェノール」はいい響きを持っているけれど、そもそもは野菜のアクの成分。ナスやレンコン、山菜に含まれ、空気に触れると食品の切り口の色を変えてしまう作用があります。光合成によって色素や苦み成分が生成され、それは自らを紫外線から守るための自衛策としての成分です。

今の野菜は昔よりも「アク」が少ないと聞きます。それは人間が食べやすく、売れやすくするために改良を重ねた結果です。なんだか寂しい気もします。「アク」は確かに苦かったり美味しくなかったり、食べ過ぎが良くなかったりはするけれど、「アク」こそ野菜の持つ個性なのです。キッチンでホウレンソウを茹でたり,レンコンを酢水につけたりする時にどうか野菜の個性を少しだけ残してあげてください。「アク抜き」の作用はビタミンCなどの体に有用な水溶性ビタミンを損失させてしまう作業でもありますから、ほどほどにすることをお勧めします。

Dsc_2410☆関係者のみなさま☆間違ってる事や分かってない事を断定するような書き方があれば、是非ご指摘ください。

上の写真はイチゴ大福。昨日厚木で一緒に講師をやる野菜ソムリエ先輩と打ち合わせをしましたが、そのときにレシピを聞いて、それを基に作りました。簡単で超美味しい。連日作って、無理やり夫に食べさせてます。イチゴ以外にもいろんなものいれたくなります。

そして、もう一つの写真はパルシステムの機関紙「POCO21」。毎月野菜などと一緒に配達されますが、毎回内容がとっても興味深いのです。4月号は「野菜のアク」5月号は「中国ギョーザ」、他に食品添加物や農薬、自給率の問題などを取り上げてます。パルシステムやってる方は是非購読オススメします。

 

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コメント

いちご大福大好き(相変わらず野菜ソムリエとしてよりも、好きなものに目を向けてる)
私も作るんだけど、自分で力一杯練るタイプのお餅なんですが、やさいちゃんはどうやって作ってるの?

最近は「ファイトケミカル」をうたったサプリや栄養食品があるね。
でもこれらの内容を知っている人はほんのわずか。
ポリフェノール、カロテノイド、フラボノイド・・

これらアクや苦みなのですが、わざわざこうして売り出すというのはどうしたことだろう?なんて思っていました。

肝心の野菜はアクの少ないものがどんどん主流になっていくしね。。

アクは野菜の旨みに変化していきます。
ナスなどはできるだけ調理直前に切ってあく抜きせずに炒めた方がぐっと甘みが増しますよね。

投稿: みゆき | 2008年4月 8日 (火) 20時55分

イチゴ大福おいしそう
みゆきさんに続いて好きな物の方に惹かれました~。
私もフィトケミカルについて、前々から気になっていました。
植物の力って、ほんとに不思議。
ちゃんとまとめてブログに紹介するなんてえらいなぁ。
…内容についての専門的なコメントでなくてごめんなさい(汗)

おかげさまで、神奈川のコミュニティに入会しました。
ご一緒できる機会を楽しみにしています!

投稿: うたこ☆ | 2008年4月 8日 (火) 21時25分

私も野菜のアクはずっと気になってます。
私の場合はズボラなので、アク抜きしなくていいならその方がいい!という理由なのですが、、
ジュニアのクッカリーの時にアクについて質問した事があります。
シニアの方ですが、「アクは苦みなどの事なのでその味が気にならないようでしたらアク抜きはしなくていいですよ」という答えでした。
その方がおっしゃるには健康被害は特にないという事でした。
自分的にちょっと納得できなかったのでウノミにはしてませんが、、
ところで、アクは水溶性ビタミンなどと一緒のように多量にとっても尿や汗などで出てしまうのでしょうか?
おそらく1,2回の食事で食べる量では健康被害に及ぶ事はないと思うのです。
体の中に蓄積しないものだとしたらシニアの方がおっしゃったようにその味が気にならないのならアク抜きしなくてもいいと思うのですよね、、
他の栄養素も逃さなくていいし。
ポリフェノールがアクの1種だと知らない方も大勢いると思います。
野菜のいい事ばかりでなく、その他の重要な事、そしてその対処法などをきちんと伝えられるようになりたいですね。
やさいちゃんは、こうやってきちんと勉強して分かりやすくまとめていて流石だなぁ~と思います。
また、色々教えて下さい。

投稿: きょうみ | 2008年4月 9日 (水) 10時38分

みゆきさん:このイチゴ大福はレンジでチンなので、全く練ってませんよ。力一杯練るってゆうの、おいしそうですねー。でも白玉粉ってべたべたしてとっても扱いずらくないですか?なにか秘訣あったら教えてください。ナスの調理法はやってみますね!いつも勉強になります確かにファイトケミカルをうたった健康食品、多いですね。昔からそういうものってどうなの?っておもてましたが,大事なのは「バランス」ですよねー。

うたこ☆さん:植物の力や魅力って奥深いですよね。時には植物学や化学式に出会う事があるから、スゴい。神奈川コミュで会えるの楽しみにしてまーす!!

きょうみさん:貴重な意見、ご質問ありがとうございます。体に蓄積するのか?流れるのか?ということですが、シュウ酸に関しては、食べ方によって排泄されたり、結石となって蓄積してしまったりするのでしょう。ポリフェノール類にかんしては、その効き目が2、3時間しか無いという記述を見つけました。だから毎日摂取することが望ましいと。硝酸やジャガイモの芽なども、大量に食べなければ健康被害は無い、というのは実生活で実証されてると思いますが、農薬と一緒で、少しの量なら解毒されるのでしょう。けれども解毒には消化酵素が必要で、その酵素は一生で分泌される量が決まっていて、それがなくなったとき=死と言う人もいます。なので、生野菜から多くの酵素をとって体内から分泌される酵素の量を少なくしよう!という意味でも毎日野菜(特に生野菜)を食べることは大事なんですよね。きょうみさんの質問に答えたシニアの方の答え方は間違ってないですけど、きょうみさんの納得いかない気持ち分かります。この疑問を自分で解決しよう!とするのが野菜ソムリエの仕事の1つかな、と思います。

投稿: やさいちゃん | 2008年4月 9日 (水) 11時15分

中学校の調理実習で習ったけど、あくってうまみもあるから、撮りすぎてもよくないんだよね。
あくの強いしいたけとかって、あくとりすぎたら味ないしね。
最近のお野菜はどんどん品種改良が進んで、消費者は「甘み」に焦点が行きがちだけど、
やっぱりやさい本来のあくとか、えぐみとか、良い意味でのあおくささって言うのも必要だと思うんだよね。
じゃないとお野菜の味がしないもんね。

食料自給率、最近ものすごく気になってます。
POCO21、ものすごく気になる!!

投稿: まめあっこ | 2008年4月10日 (木) 00時45分

まめあっこさん:私はその調理実習、覚えてないけど、アクはうまみでもある事は確かだね。しいたけに関しては私にとってアクは「悪」でしかないけど、、、
消費者は野菜に甘みを求めてる。トウモロコシなんて昔より相当甘くなってる。確かに収穫したてって甘いけど、食べやすくなっているのは人が手を加えているからなんだろうね。私たちが本当の野菜の味を知っている世代なのか?といわれるとちょっと自身がないかも。都会で生まれ育った人にとって子供のころの美味しい野菜って紀ノ国屋のレタスとか、そういうものだったからな、、、
POCP21、今度持ってくよ。マスターにも見せてあげて

投稿: やさいちゃん | 2008年4月10日 (木) 10時15分

楽しく拝見させてもらいました!

自給率というワードがあったので、気になりコメントさせていただきました。
最近、浅川芳裕さん著『日本は世界5位の農業大国』という本を読みまして、日本の食料自給率について書かれてたんですが、なるほどと思うことばかりで。。。何が真実かは本当のとこはわかりませんが、
政府を鵜呑みにしてはいかんな〜と思った次第です。
もしご興味おありでしたら是非読んで見てください。
(私はこの本の回し者ではないのであしからず)

さなだ様の文章、とても読みやすくて好きです。
これからの益々のご活躍かげながら応援しております。

投稿: 通りがかり | 2013年2月 6日 (水) 15時53分

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