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ABQ解散コンサート

Dsc_3742今日は野菜ではなく音楽の日記です。

6月2日サントリーホール世界最高峰のカルテット「アルバンベルクカルテット(ABQ)」の解散コンサートに行ってきました。
このカルテットの結成は1970年。メンバー4人はそのとき既にクラシック界では大きな成功を収めた者ばかり。1stバイオリンのピヒラーはウィーンフィルのコンサートマスターだった。でも全員そのときの全てを捨てて全身全霊でカルテットを演奏するという趣旨で結成されたカルテット。1stのピヒラーとチェロのエルベンは結成当初のメンバー。
今までに4回ほど聴きにいったことがあるのだけれど、今回の解散の話を知ってこの日を楽しみにしていたのです。
ABQのコンサートは舞台に上がってからというものの、チューニングをせづにいきなり音楽が始まる。そしていつもその第一声を聞いて「お゛ーっ(涙)」と思うのです。(こんな表現しかできなくてごめんなさい。)今回もそうでした。おそらくチューニングは彼らにとっては裏方でやることであって、一切の雑音を私たちに聴かせないための策略なんだろうな、、、と。
今回のメインとなる曲ベートーベンの弦楽4重奏第15番はピヒラーが「世界のカルテットの曲の中でも最高」というくらいすばらしい曲。ベートーベンは16曲のカルテットを残しているけれど、晩年の作品。結成から10年間練習を重ねて、やっと初披露した曲なんだそう。これをなぜ解散コンサートに選曲したかというと、曲のすばらしさに加えて「3楽章のリディア奏法による病から回復したものの神対する聖なる感謝の気持ち」が解散を迎えるABQの気持ちと近かったから。3楽章は協会のオルガンのような響きで始まるのです。ノンビブラートで、これ以上ないというくらいの美しく心に染みわたる弦楽器の音。ここで2回目の「お゛ー(涙)」がきました。おそらく譜面上はとても簡単なことしか書いてないんだろうけれど、この表現力は本当にすごい。涙が出ました。神が降りてきてました。
アンコールはベートーヴェンの弦楽4重奏第13番から。演奏が終わったあと、30秒くらい2000人以上入っているホールが静けさに包まれていました。3回目の「お゛ー(涙)」。なんだかとても心神深い気持ちになりました。先日大学オケの仲間が突然この世を去り、そのご実家を訪ねた後だったので、彼女のことを思い、追悼の気持ちになりました。
この演奏がもう聴けなくなるのかと思うと悲しくて残念で仕方が無い。オーケストラというのは100人以上の人間が一つの音楽を作るけれど、カルテットはたった4人で作る。ABQの演奏は4人だからこそできる「完璧」な演奏。世の中に絶対ということはないけれど、彼らの演奏には「絶対」とか「完全」とか、そんな言葉しか出てこない。
演奏終了後、サイン会があったので1人で30分ほど並びました。そしてチェロのエルベンとは握手もしてきました。間近でみるとピヒラーは厳格そのもののおじいさま。エルベンは厳格な中にもチェロの音色のような暖かさのある方で、手はとても暖かかった。あの手でカルテットの低音部を支えていたんだーなんか力をいただきました。
このパンフレットのピヒラーのインタビューの中にこんな文章がありました。
「演奏会が始まるとき、私たちは日常生活に引きずられて切り替えができないでいる聴衆の一人一人の落着かない心境をいつも強く感じます。しかし音楽が除々に人々の心を捉え、彼らの期待すること、すなわち別世界へと導いていく様子は大変興味深く、私たちを幸せな気持ちにします。」この言葉がABQの全てなんじゃないでしょうか。

解散コンサートに行けなかったみなさま、ご報告でした。

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コメント

とっても心が洗われるような音楽なんでしょうね~。
そう言えばクラシックコンサートって始まる前にチューニングしてたりしてますよね(あまり行った事ないけど)。
あれで、徐々に気分が盛り上がる気がします。
でも、ここではそれがなく一気に別世界に引き込まれるんですね。
心がキレイになり、さらにキレイなものを取り込んだやさいちゃんは、これからもっと輝くんでしょうね。

投稿: きょうみ | 2008年6月 4日 (水) 10時12分

弦楽をやっていないので、詳しいことは分からないのですが、世界のトップクラスの実力を持つカルテットなんだろうなと思いました。
やさいちゃんの感動の叫びはとても良く伝わってきますよ~。語れない感動というのはあるよね。
私は数年前まで年に何回か葉加瀬太郎のコンサートに行っていたけれど、静寂な感じこそないけれど、会場の気持ちが一つにまとまっていき、飲み込まれるような音楽に何とも言えない充実感を私も感じてしまうことがあり、フジ子ヘミングのコンサートに行ったときは震えが止まらなかったです。

大学の先輩がお亡くなりになってしまったのね。。
若くしてお亡くなりになられてしまい可哀想で残念ですが、ご冥福をお祈り致します。

メンバーの最後の演奏を聴けたこと。
最高の思い出に残ることと思います!

投稿: みゆき | 2008年6月 4日 (水) 13時40分

ども!パンや仲間です^^

以前の勤務先である「りゅーとぴあ」というコンサートホールで、初めてカルテットを聴いたときのことを思い出しました。カルテット独特の、パリっとした真っ白いシャツのような緊張感。。ってか、そのとき演奏者が全員真っ白いシャツを着てたんですよ(笑)。それがまたカッコよかった!

2000人のホールの沈黙かぁ。確かに鳥肌モノですね。音楽のような時間芸術は瞬間の奇跡ですよね。立ち会えて幸せですね☆そして私は明日オフなんで幸せデス♪

投稿: pine-tail | 2008年6月 4日 (水) 16時43分

きょうみさん:素敵な音楽会に行けて今でも余韻に浸ってます。たまにプロの演奏会も行くけれど,こんなに後を引くことってあんまりないのです。なんかとてつもないパワーをもらいました。最近、もらってばっかりです

みゆきさん:葉加瀬太郎やフジコヘミングのコンサートに行った事があるのですか。素敵ですね。葉加瀬太郎のコンサートはもりあがるんだろうなー。情熱大陸の音楽とか大好きです。同級生がなくなった事はとってもショックで、今でも信じられないんです。でも、ご両親に彼女の分まで長生きして、と言われ,じーんと来てしまいました。人間健康でいることが第一です。そして両親より先に自分がこの世を去るのは最大の親不孝だな、、、と思います。

pine-tailさん:あ、なるのどね今日もお疲れさま。私も明日はお休みで韓国料理習ってきまーす!昔コンサートホールに勤めてたんですか?楽しそう。クラシックに限らず、生の芸術ってスゴいよね。たまにスゴい事が起きますから。貴重な体験でした

投稿: やさいちゃん | 2008年6月 4日 (水) 17時08分

やあ、一緒だったんだね!
ほんと、オルガンのような響き。その辺の優秀な若手団体も多いけど、この職人技はそうできまい!と思ってしまった。
ほんとに良かったよね・・・しみじみ

投稿: masaosama | 2008年6月 4日 (水) 21時24分

この解散コンサートって、もしかしてやさいちゃんがあやうくゴミ箱に捨てそうになったあのチケットですか?
私はクラシック詳しくないけど、やっぱり詳しい人だからこそわかる、すごい感動があるんだなぁ…とひしひしと伝わってきました。
コンサートってCD聞くのとは全然違う感動がありますね~。
(実は私も毎年楽しみにしているアーチストがいて、解散じゃないんだけど、なんと今年はツアー中止!っていう激震ニュースがあって、その件でもへこんでいるの)
音楽って、ジャンルを超えて、いいものですね。

投稿: らすかる | 2008年6月 5日 (木) 17時09分

masaosama:まさおさまはもしやこの曲弾いた事あるんですか??だとしたらすごいなあ。私、最近はじめてちゃんとカルテットやったけれど、難しいです。でも楽しいです。まさおさまには遠く及びませんが、、、

らすかるさん:よく憶えてましたねゴミ箱から出てきたチケットなんですらすかるさんのお好きなアーティストってどなたなんでしょうか?よく話に出てくるから気になっています。へこむほど好きなんですね!でもそういうのがあると、元気でますよね

投稿: やさいちゃん | 2008年6月 5日 (木) 17時47分

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